地方公務員(都道府県)の超過勤務の実態

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この記事を読めば解決できること
  • 公務員って「ヒマ」って言うけど実際はどうなの?
  • 勤務先や仕事の内容によって残業に違いはあるの?

よく「公務員はヒマでいいなあ」と言われることがあります。

でも、実際のところ、一般の企業に比べて忙しいのかヒマなのか?

これから公務員を目指している人にとっては、気になるところではないでしょうか。

私の現役時代は、県庁は大変忙しく、出先機関は比較的ヒマ研究機関は忙しいわりには残業を付けない人が多いといった印象です。

そこで今回は、超過勤務の仕組み技術系地方公務員における超過勤務の実態について、紹介します。

目次

労働基準法による勤務時間とは

労働者(管理職を除く職員)の労働時間は、労働基準法第32条によって週40時間以内1日8時間以内と決まっています。

公務員も一般企業と同様、本規定の適用を受けることになります。

では、実際の公務員の勤務時間はどうなっているでしょうか。

1日
勤務日
・時間
8:30~17:15月曜日~
金曜日
勤務時間7時間45分38時間45分
残業
可能時間
15分1時間15分

労働基準法では1日15分週1時間15分を超える残業は違法となっています。

ただし、労働者の組織する組合等と書面による協定を締結すれば、月45時間、年間360時間まで超過勤務(残業)が可能となります。

ほし

労働基準法36条の規定に基づく協定から、一般には「三六協定」と言われています。

残業(超過勤務)をする場合のルール

都道府県や市町村の職員は、残業(休日や勤務時間外に勤務)する場合は、所属長の命令が必要になります。

よく、「今日も仕事が残ってしまって残業した」という話を聞きますが、これは間違いです。

通常は、本人から残業(超過勤務)の申し出(申請)を受け、所属長が許可(命令)をした場合に残業(超過勤務)をすることができます。

ほし

実際は事後報告で残業が許可されていました。

残業代(超過勤務手当)の金額

残業代(超過勤務手当)は、1時間当たりの給与額加算割合を乗じた額をもとに、勤務時間に応じて支給されます。

計算式は次のとおりです。

  • 1時間当たりの給与額

給与額(基本給+特地勤務手当+へき地勤務手当+普及員手当)×12/38.75(1週間当たりの勤務時間)×52)-(7.75(1日の勤務時間)×17(祝日(土日を除く)))

例えば手当を含む給与額が270,000円の職員の場合

 270,000円×12/(38.75×52)-(7.75×17)=1,720円

ほし

給与が27万円の人の場合を時給に換算すると1,720円になるという計算です。

  • 加算割合

残業をする日により、次のとおり加算額が変わります。

残業日加算割合
平日
(5時から22時
(勤務時間を除く))
1.25
平日
(22時から翌日5時)
1.25+0.25(※2)
=1.5
土日・祝日(※1)
(5時から22時
(勤務時間を除く))
1.35
土日・祝日(※1)
(22時から翌日5時)
1.35+0.25(※2)
=1.6
※1 年末年始を含む、※2 夜勤手当
  • 残業代の算出

1時間当たりの給与額に加算割合を乗じた金額に残業時間数を掛け、残業代を算出します。

例えば給与額(手当て含む)が270,000円の職員が、平日の17時15分から20時15分までの3時間残業すると

1,720円×1.25×3時間=6,450円となります。

ほし

27万円は10年目の地方公務員の給与額です。初任給や20年目、30年目の給与は、次の記事を参考にしてください。

勤務場所や仕事の内容別の超過勤務時間

同じ都道府県の職員でも、勤務地は本庁、地方機関、研究機関など様々で、仕事の内容も異なります。

そこで、勤務場所や仕事の内容によって超過勤務がどのように変わるのか、私の経験を元に紹介します。

都道府県庁(本庁)

本庁超過勤務が最も多い部署です。

中でも、11月から12月の予算編成時期は特に多く、休日出勤となる場合もあります。

また、年4回の議会開催時期も、残業時間が多くなります。

特に議員さんから質問があった場合は、翌日までに答弁案を作成する必要があるので、夜遅くまで残って残業していました。

20、30年前は午前様のこともあって、タクシー(自腹です)で帰宅していましたが、現在は、10時頃までには退庁できるようになっています。

それでも超過勤務時間は、多い時で50時間を超える月もありました。

5時を過ぎて1、2時間残って仕事をする時は超過勤務を付けない、いわゆるサービス残業をしている人もいます。

また、日曜日は仕事をしないように指示があったので、出勤しても超過勤務を付けないことが多かったため、実質はかなりの残業時間になっていました。

地方機関

基本的には残業はありません

でも、部署によってはイベントの開催や住民説明会等の開催などで、土日や夕方以降に出張する場合は、超過勤務をすることがありました。

超勤時間は、多くても月10~20時間程度ではなかったかと思います。

研究機関

技術職の人の場合、研究機関に配属されることもあります。

農業職の場合は農作物を栽培しているため、休日や連休中にも作物の様子を見に出勤する場合もありますが、基本的に超過勤務は付けていないことが多かったです。

また、普段の日では、通常でも夜の7、8時頃まで残って研究をしていましたが、研究の延長という感覚で残業は付けていませんでした。

超勤時間は、月10~20時間程度でしたが、実質は50時間程度は残業していたように思います。

ほし

研究は特殊な仕事という雰囲気があって、あまり超勤を付けていませんでしたが、本来は、超勤を付けるべきですね。

都道府県別の超過勤務の実態

香川県庁

昔の都道府県庁は不夜城と呼ばれ、24時間電気が付いていました。

でも最近は、働き方改革を進めるため、超過勤務の縮減が叫ばれるようになり、かなり減ってきているように感じます。

実際の超過勤務時間は分かりませんが、残業代(超過勤務手当)は、各都道府県のホームページに掲載されています。

そこで、一人当たりの超過勤務の年間支給額から、都道府県を残業代が多い順に並べてみました。

順位都道府県1人当たり年間
支給額(千円)
1熊本県687
2徳島県649
3埼玉県586
4山形県584
5奈良県568
6滋賀県566
7岡山県555
8大分県552
9愛知県545
10宮城県544
10香川県544
12京都府533
13福島県510
14千葉県500
15島根県493
16岩手県488
17三重県486
18静岡県480
19愛媛県475
20岐阜県471
21福井県461
22北海道442
23新潟県436
24山梨県432
25鹿児島県430
26福岡県428
27沖縄県425
28和歌山県419
29宮崎県415
30富山県413
31山口県412
32広島県404
33栃木県403
34鳥取県400
35群馬県396
36兵庫県391
37石川県390
38茨城県383
39佐賀県369
40青森県367
41大阪府363
42長崎県358
43東京都354
44秋田県350
45長野県338
46神奈川県235
47高知県219
平均452
各都道府県HP(令和2年度)より

残業代(超過勤務手当)が多い都道府県ベスト3は、熊本県(687千円)、徳島県(649千円)、埼玉県(586千円)でした。

逆に残業代が少ない都道府県ベスト3は、高知県(219千円)、神奈川県(235千円)、長野県(338千円)でした。

以外にも東京都が354千円、大阪が363千円と、少ない都道府県になっていました。

また、47都道府県を単純に割って平均を出すと451千円で、月平均では37,666円の残業代をもらっている計算になります。

残業代の平均支給額に近い福井県(461千円)を例に見ていくと、月平均支給額は38,417円となります。

福井県の平均給与月額は388,377円となりますので、1時間当たりの給与額は2,474円です。

超勤を全て平日の夕方から実施したと仮定(加算割合は1.25)すると、月の残業時間は平均12.4時間となりますので、比較的少ないようです。

まとめ:地方公務員(都道府県)の超過勤務(残業)実態

都道府県職員の超過勤務(残業)は、本庁で多く地方機関で少ない傾向があり、研究機関などでは、超過勤務を付けないで研究をしているケースも見られます。

残業代(超過勤務手当)は、月平均で1人当たり37,666円で、12時間程度の残業をしていますが、昔に比べて少なくなった印象です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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