- 国家公務員と地方公務員の違いは何?
- 公務員にはどんな仕事があるのか知りたい
- 公務員になるとどんなメリット・デメリットがあるの?
こんにちは、ほしです。
皆さんは「公務員」と聞くとどんなイメージを持っていますか?
よく、「堅い」「まじめ」「仕事が楽」「給料が安定している」などというイメージを持っている方も多いと思います。
しかし、実際には、公務員の種類や職種によって、仕事の内容も忙しさも、給料も全然違います。
そもそも仕事の目的も、国の職員は「国や国民のため」、都道府県職員は「県や県民のため」、市町村職員は「市町村や住民のため」になる仕事をしなければいけません。
当然、規模や人員・予算も国>都道府県>市町村となり、仕事の内容も違います。
これから公務員を目指す皆さんは、それそれの公務員の特徴や仕事の内容を理解したうえで、ご自身が目指す公務員像を持って試験に臨まれることをお勧めします。
そこで今回は、大学生の方で公務員を目指している人を対象に、国家公務員と地方公務員の違いについて解説します。
仕事の内容やメリット・デメリットについて、技術系の元地方公務員の目線で紹介したいと思います。
各都道府県のホームページやパンフレットに掲載されている内容では分からない「県庁の中からみた公務員像」を紹介していきます。
公務員とは
公務員は、簡単に言うと、「国や地方公共団体(都道府県、市町村)の公務をする人」を指し、国家公務員と地方公務員に分けられます。
また、仕事は国や地方公共団体が定める法律や条例に基づいて行われますが、究極的には、「人のためになることをする」のが公務員で、「国や都道府県、自分の住んでいる町を良くしたい!」と考えている人に向いている職業です。
「〇〇〇を良くしたい!」「□□□のためになることがしたい!」といった使命感を持ってできるのが最大の魅力です。
特に、技術系出身の人は、大学で学んだ専門知識や技術を活かして、国や地域のためになる仕事ができるので、仕事の達成感や満足感を味わうことができる職種だと言えます。
国家公務員
国の機関で仕事をする職員が国家公務員になります。
職場も、東京都の霞が関にある〇〇省や◇◇◇◇省などの本省で働く人と、各地方の省庁の出先機関である地方支分部局で働く人に分かれます。
国家公務員も霞が関だけが職場ではなく、全国各地に出先機関が存在しますので、注意が必要です。
国家公務員の仕事の内容
国家公務員(大卒)の場合は、採用試験の区分が総合職と一般職に分かれます。
総合職は、いわゆる「キャリア」と呼ばれる人で、国全体にかかわる政策や法律の企画・立案や、国家予算や国会対応などを行う仕事です。
一方で一般職は、本省で企画・立案された政策や法律、予算等をそれぞれの地域の現場で執行する仕事になります。
また、技術系ですと研究職の仕事もあります。
農学系の場合は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、工学系は国立研究開発法人産業技術総合研究所(産技研)、生物・化学系は国立研究開発法人国立環境研究所(国環研)になります。
本部はいずれも茨城県つくば市にありますが、研究施設はつくば市以外にも、北海道から沖縄まで、全国各地にそれぞれの地域特性に合わせた研究拠点があります。
国家公務員になるメリット
総合職の場合
何といっても、「将来の日本を背負って立つ人」を目指すには、国家公務員の総合職を目指すのが一番ではないかと思います。
日本の中心である霞が関で、国家予算を使って日本を動かす仕事ができることは、何物にも代えがたい充実感を味合うことができます。
また、技術系の人は研究職を目指して日本の未来に役立つ研究を開発するという夢を持って仕事打ち込むこともできます。
一般職の場合
地方事務所を中心に異動することが多いため、全国各地を転々とすることが少なく、比較的、地元で長く仕事を行うことができます。
例えば、九州〇〇局では、九州地方の県での異動が中心になります。
国を動かすような大きな企画を立案したり予算を立てたりすることはできませんが、国家の仕事に従事できることは魅力の一つではないかと思います。
国家公務員のデメリット
総合職の場合
一番のデメリットは全国各地に異動する可能性があることです。
地方事務所にもキャリアのポストがありますので、関東〇〇局以外へ転勤する場合は、引っ越しが必要です。
若い時はいいのですが、家族を持ってくると、単身赴任での生活も考えておく必要があります。
研究職の場合は、比較的異動が少なく、引っ越しの心配をしなくてすみますので、逆にメリットになります。
2つ目は、本省勤務の場合、残業を覚悟する必要があります。
2019年にダイヤモンド・オンライン(DOL)が国家公務員の月間残業間ランキングを発表しましたが、これをみると、1位は財務省で72.59時間、2位は文部科学省で72.43時間、3位は経済産業省で70.16時間でした。
ちなみに、農林水産省は12位で48.06時間、環境省は8位で54.06時間となっています。
国家公務員の残業時間ランキング!【24官公庁・完全版】 | 社員クチコミからわかる「企業ランキング」 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
一般職の場合
総合職の下請け的な仕事になりますので、モチベーションを維持するのが大変です。
また、年下のキャリアの方が上司となることもありますが、そこは、総合職と一般職の違いですので、割り切って仕事をする必要があります。
地方公務員(市町村)
市町村の市役所・役場で仕事をする職員が市町村の地方公務員になります。
職場も、市町村内に限られるので、転勤もありません。
上級(大卒)、初級(高卒)(自治体によっては中級(短大卒)もあります)の区分があり、自治体によって卒業を条件にしている自治体や、高卒でも上級職を受けることができる自治体もありますので、事前に確認する必要があります。
地方公務員(市町村)の仕事の内容
市町村の住民密着型の仕事が多く、窓口業務から新規事業等の企画・立案、議会や予算対応など、さまざまな仕事をこなさなければなりません。
住民に接することが多いため、やりがいを感じることができますが、一方では、住民からの苦情を受けることも多く、注意が必要です。
自治体によっては土木や機械、電気、農業など、技術系の職員を採用するところもありますので、受験を希望される自治体の採用情報を確認してみましょう。
地方公務員(市町村)になるメリット・デメリット
地方公務員(市町村)のメリット
直接、住民と接する仕事が多いため、「人のためになる仕事」をしている実感が持てます。
また、異動があっても引っ越しをすることがないことも魅力です。
国や都道府県と比べて比較的残業が少ないため、定時に帰宅することができます。
地方公務員(市町村)のデメリット
直接、住民と接する機会が多いため、ストレスに感じる方も多く、人と接することが苦手な人は、窓口業務では苦情を受けることも多いので注意が必要です。
また、国、都道府県職員に比べて給料が安いこともデメリットの一つではないでしょうか。
地方公務員(都道府県)
都道府県庁や出先の地方機関で仕事をする職員が都道府県の地方公務員になります。
職場はほぼ都道府県に限られますが、場合によっては通勤時間がかかるために引っ越しが必要な場合もありますし、東京(大阪)の事務所に異動する場合もあります。
技術系(上級職)はほぼ大学卒以上で、薬剤師や保健師などは資格を取得する必要があります。
地方公務員(都道府県)の仕事の内容
国ほど規模は大きくありませんが、都道府県域にかかわる政策や条例の企画・立案、都道府県予算や議会対応などを行います。
国と市町村の中間に位置するため、市町村向けの国補助金(交付金)を受け入れて、市町村へ流す、中継役をすることもあります。
また、技術系では農学系、工業系、衛生・環境系(化学、薬剤師)などの研究施設がありますので、研究員を目指すことも可能です。
さらには、農学系では42道府県に大学校も設置されています。
こちらでは、技術系(農業職)地方公務員の仕事の内容を詳しく紹介していますので、興味のある方がご覧ください。
地方公務員(都道府県)になるメリット・デメリット
地方公務員(都道府県)のメリット
国に比べると規模は小さいですが、都道府県民を背負って仕事ができますので、モチベーションを高く維持して仕事をすることができます。
異動があっても引っ越しをしなくてもすむ場合が多いのもメリットの一つです。
また技術系だと、土木職では、県有施設や道路、橋などの建設に携わることができますので、後世に残る仕事をすることができるのも魅力です。
施設や橋の建設など、子供に自慢できる仕事ができるのも技術系のメリットになります。
地方公務員(都道府県)のデメリット
国と市町村の中間に位置しますので、仕事のスケールも大きくなく、手ごたえを感じられないこともあります。
また、出先機関に比べ県庁で仕事をすると残業が多く、特に年末の予算編成や議会開催中などは、待機がかかって帰れない時もありますので、注意が必要です。
私も、終電に間に合わずタクシー(自腹です)で帰宅したこともありました。
都道府県職員から見た国・市町村職員との関係やイメージ
都道府県と国との関係
2000年以前は、「機関委任事務」といって、本来、国が行う仕事を都道府県や市町村が代わりに行う仕事というのが多くありました。
当然、国から「通達」文書が発出されて、仕事の内容を事細かく指示されるわけですから、当然、国が上で都道府県が下という関係が出来上がっていました。
そのため、国の職員が都道府県に出張で来られると、夜は懇親会と称して接待をする「官官接待」が慣例になっていました。
当時は、お互いに当然のように飲み会をしており、その後の仕事にも大きく影響していたのではないかと思います。
また当時は、「ノーパンしゃぶしゃぶ」が話題になった頃で、国の高級官僚の接待が社会問題化していました。
2000年になりますと、地方分権一括法が施行され、「機関委任事務」が廃止されました。
一部は、法定受託事務として国の関与する事務が残りましたが、ほとんどの機関委任事務は廃止され、国の関与が大幅に減りました。
そのため、現在では、国も都道府県の市町村も対等の立場という認識に変わりましたが、それでも、旧態依然の関係性は残っています。
ただし、さすがに「官官接待」はなくなり、コロナ禍後は懇親会も減少しています。
都道府県と市町村の関係
2000年の地方分権一括法の施行により、形式上は国も都道府県も市町村も対等になっていますが、実情は国>都道府県>市町村という構図は変わっていません。
なぜなら、どの自治体でも大きな事業を行う場合、国からの交付金や補助金を活用して事業を実施するケースが多くあります。
この場合、お金の流れは、国から都道府県、そして市町村へと流れるわけでして、都道府県から市町村へお金を交付する場合は、都道府県が作成した要綱に基づいてお金を交付することになります。
当然、書類の作成や現地確認等でお金の流れを都道府県職員がチェックするものですから、必然的に都道府県>市町村という構図が出来上がってしまいます。
それでも今は、市町村職員に対して偉そうに仕事をしている都道府県職員は少なくなっているように感じています。
まとめ
今回は、国家公務員と地方公務員の違いや仕事の内容、さらには、国と都道府県と市町村の関係について紹介いたしました。
スケールの違いはありますが、いずれも「人のためになる仕事」ができるという魅力があります。
特に技術系の方で公務員を目指している人は、大学で学んだ知識や技術を活かし、未来につながる施設の建設や研究開発を行うことができますので、ぜひ、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。