都道府県議会は国会のミニチュア版 議会質問・答弁の仕事を紹介

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この記事を読めば解決できること
  • 都道府県議会って何をしているの?
  • 議会開催中の仕事を知りたい!
  • 国会の予算委員会のように野党と与党の舌戦が展開されるの?

こんにちは、あさひです。

私は30年以上、技術系(農業職)職員として県庁で働いてきた元地方公務員です。

都道府県庁の議会では国会答弁と同じく、議員さんの質問に対し、理事者(知事、部長など)が答弁を行っています

また委員会では、理事者(部長、課長など)が議員の質問に答えることになっています。

規模は小さく、国会のミニチュア版のようですが、やっていることは同じなんです。

そこで今回は、都道府県議会の内容や我々都道府県職員が行う答弁案作成の実際について、紹介します。

目次

都道府県議会の開催時期や内容を紹介

議会の開催時期・回数

都道府県では、6月、9月、11月、2月に定例の議会が開催されます。

中には、群馬県や神奈川県、大阪府のように、9月議会と11月議会が一緒になっているところもありますが、通常は、年に4回、議会が開催されます。

期間は1週間から1か月程度で、条例案や予算案の審議を行い、閉会日(最終日)に議決をして多数決により採決をします。

都道府県議会の開会から閉会までの流れ

主に本会議と委員会が開催され、本会議では、開会日と閉会日以外は、議員さんと理事者(知事、部長等)が対峙して質問と答弁を繰り返す、いわゆる質問戦が繰り広げられます。

ゆうひ

いずれの都道府県でもインターネットでの中継を行っていますので、興味のある方はご覧ください。

質問戦が終了すると、各部門ごとに委員会が開催され、議案審議を行います

最終日の本会議では、委員会の審議結果を報告した後、採決をして終了となります。

本会議における質問と答弁作成の方法

本会議でも質問と答弁について、裏側も含めて解説します。

議員さんと理事者(都道府県職員)の両方においしい質問・答弁

議会の開会前には本会議で質問をして欲しい(答弁が可能な)項目を与党の議員さんへ提供することもあり、実際に提出した質問をしていただくことがあります。

提供した課題が議会で質問されて知事や部長が答弁すると、知事の了解事項になりますので、関係する新しい予算が獲得しやすくなったり、実施中の事業が取り組みやすくなったりします

そのため、質問事項を選ぶ際には、これから取り組みたい課題や、話題になっている課題で県の取り組みがPRできるような課題を選んで提供しています。

また、これらの質問については、事前に答弁案を作成していますので、その後の仕事もスムーズに流れていきます。

なので、議員さんとしては、質問内容を考えなくてもいいですし、職員としては、仕事のPRになるので、どちらにもおいしい質問と言えます。

一般的な質問・答弁作成までの流れ

通常の質問と答弁を説明します。

議員さんによっては質問を想定して準備

先ほどのおいしい質問はごく一部で、通常は、議員さんが自分で考えて質問を作成してきます。

質問の内容は、議員さんの出身市町村で問題となっている課題が一番多い傾向があります。

そのため、議会前には誰が質問するかによって、ある程度、質問内容が想像できる場合もあり、事前に準備していくケースもあります。

また、野党の議員さんからは、理事者(県職員)に都合が悪い(答弁が難しい)質問が出されることがよくあります

その場合も、質問者が決まった段階で事前準備を始めることが多いわけですが、やはり、中々答弁案が固まらず、何度も書き直すことになり、結構、大変な作業を強いられます。

担当する係の質問が出された場合の対応

実際に議員さんから質問が出されると、それに対する答弁案を作成していきますが、時間的な余裕がなく、かなりタイトな作業になります。

というのも、質問される日の1週間ほど前に質問項目と内容を提出していただくようにお願いしていますが、遅れることが多いです。

そして、質問が出てきますと、議会担当部局から内容が送られてきます。

この時が一番緊張する瞬間でして、自分の係に関係のある質問が来るのと来ないのとでは、その後の仕事に大きく影響します。

運よく(悪く?)質問が当たった係は、議員さんの質問の内容を確認して間違っているところや表現がおかしいところをチェックして議員さんへ帰して修正をお願いします。

ゆうひ

原案を尊重しつつ、数字が間違っている(古い)ところや、事実と違う内容が入っているものを修正してもらいます。

答弁案の作成から審議・答弁まで

同時に、理事者(知事、部長)の回答案(答弁案)を係で作成し、翌日には提出するように言われます。

通常、係長が答弁の原案を作成し、係員が関係する資料(1、2枚)を作成しますので、その日は終電ギリギリに帰宅するケースが多かったです。

ゆうひ

大体昼ごろに質問が出されると、その日中に係の原案を作成し、翌日の午前中に課長まで了解を取り、午後には部長へ提出します。

担当部長まで答弁案が提出されると、3日間ほどかけて総務・財務関係部長、副知事、知事の審査を受けます。

担当部長の了解をもらえるまでは大幅な加筆・修正や資料の追加・差し替えがありますが、その後は大きな修正はなく、執務室で待機はかかりますが、夜遅くまで残って作業をすることはありませんでした。

また、議会答弁の様子はテレビ中継され、執務室で見ることができます。

そのため、自分が担当した答弁の時間になると、関係者がテレビの前に集まって見守っていました

ゆうひ

一種の議会中の風物詩のようなもので、答弁が無事終わると、毎回ホッとしていました。

議会で質問のない課・係がうらやましい!

このように、質問を受けると、花形的な存在で、達成感もありますが、担当者は時間との勝負で、かなりのプレッシャーがかかります。

質問が出されるのが1週間前になるので、議会の中盤までは毎日、ソワソワして、他の仕事が手に付かないこともあります。

特に、質問される議員さんが野党の方ですと、質問が出てくるのが遅く、内容も理事者(県職員)に厳しいものが多いので、質問が当たった時は、悲壮感を漂わせながら答弁案を作成することもしばしばでした。

逆に、質問がない係は、表情にこそ出しませんが、「あ~よかった、よかった!」と、心の中で微笑んでいました

都道府県議会の委員会における質問と答弁

都道府県議会の委員会って何をするところ

議会答弁がひと段落つくと、委員会の準備が待っています。

委員会は10名前後の議員さんで構成されていまして、農業の場合ですと農林水産分野で一つの委員会になります。

ここでは、議会に提案された条例や予算案の審議を行います。

理事者側の出席者は、部長以下、各課の管理職が出席します。

委員会での質問と答弁ってどうするの

当日は、一通り理事者から議案説明をした後、議案とは関係のない質問が多く出され、理事者(主に各課の課長)が回答することになります。

そのため、本会議ほどではありませんが、事前に委員の方から質問項目を聞いたうえで回答案を作成し、課長へ渡します。

また、事前に聞いていない質問も出されますので、答弁に困らないよう、Q&Aを各係で作成して課長へ渡します。

私自身、実際に委員会に出席したことがないので、緊迫感は分かりませんが、答弁をする課長は、委員会対応のため休日も出勤して勉強している姿をよく見かけました。

ゆうひ

委員会中継は公開していない県もありますので、興味のある方は、各都道府県議会のホームページで確認のうえご覧ください。

本会議や委員会で質問されないための裏技

本会議や委員会の場で、できるだけ質問されないための裏技的な方法があります。

それは、マスコミに情報を発表する時期や会議の開催時期のタイミングを遅らすことです。

県庁からマスコミに提供する情報の中には、県にとって都合が悪いものや、残念な数字を出さないといけない場合もあります。

また、話題性のある会議を開催すれば、マスコミにも報道されますし、議員の方の目に触れることが多くなります。

当然、議会の前ですと、質問の格好の材料になる場合もあります。

そのため、可能な場合は、議会が終了するのを待ってマスコミに発表したり、会議を開催したりしていました

逆に、マスコミをにぎわすような話題が報道されますと、議会や委員会で質問される場合がありますので、答弁案の事前準備が必要になって、仕事が増えてしまうことになります。

ゆうひ

議会前は、新聞記事やテレビのニュースで話題になることがないよう、毎日祈っていました。

まとめ

国会中継を見ると、本会議場や委員会室で首相が答弁をしている姿を見かけますが、都道府県では議員さんと理事者(知事や部長など)が対峙して質問・答弁を繰り広げます。

都道府県議会は、国会のミニチュア版です。

また、県職員は、本会議で議員さんの質問が当たると答弁案を作成することになり、夜遅くまで作業に追われることになります。

委員会でも議会に提案された議案の審議が行われますが、それ以外の質問も多く出されるため、答弁する課長は、休日も出勤して勉強していることが多いです。

今回は都道府県議会について紹介しましたが、いずれの都道府県も議会の様子をインターネットで中継していますので、興味がある方は、各都道府県議会のホームページをのぞいてみることをお勧めします。

それでは今回はこのへんで

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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